概要
- 名称:モーリシャス座礁事故によるサンゴへの影響
- 日時:2021年7月3日(土)15:00~17:30
- 主催:Change Our Next Decade (COND)
- 会場:Zoomのウェビナー機能を用いたオンライン開催
- 内容:2021年2月に開催したモーリシャスユースとの協働プロジェクトのキックオフイベント「モーリシャスユース対談」に引き続き、より具体的な環境への影響について理解を深めるために開催しました。本イベントは、モーリシャス座礁事故や海洋保全に関心がある多くの方に、事故直後のサンゴの様子を知ってもらうことを目的として実施しました。また、日本・モーリシャス双方の若者から事故に対する考えや意見を講演を通して表明しました。
プログラムと当日の流れ
◆基調講演:山野博哉氏(国立環境研究所)
国立環境研究所生物多様性領域 領域長/気候変動適応センター センター長代行を務める山野博哉氏をお招きし、過去の油流出事故による生態系への被害や、モーリシャス座礁事故直後の様子やサンゴへの影響、その課題と解決策等についてお話しいただきました。
◆日本ユース講演:髙田健司氏(Change Our Next Decade)
CONDの国際協働専門委員会副委員長・髙田健司氏が、モーリシャス座礁事故についてこれまでの活動を踏まえて感じたこと、行政と学術分野のつながりや、遺伝学的手法を用いた知見集積の重要性について述べ、さらに今後同事故に関して私達ユースにできることについて発表しました。
◆モーリシャスユース講演:Sov Lanatir *動画による講演
通信状態の安定性を考慮し、本イベントの協力団体であるモーリシャスのユース団体・ソラナチア(Sov Lanatir)に動画作成を依頼し、日本語字幕を付して放映する形でモーリシャスユースからの講演を行いました。動画では事故当時の被害、被害拡大防止のためにどのような対策を行ったのか、今後どのような活動に力を入れていきたいと考えているのか、についてお話しいただきました。
◆質疑応答
最後は山野氏と髙田氏を交えて質疑応答の時間を設けました。COND代表・矢動丸がモデレーターを務め、参加者からの質問をピックアップし、山野氏と髙田氏にそれぞれの考えを踏まえながら質問に答えていただきました。
下記のような質問を参加者からいただきました。サンゴに関する基礎的な質問から専門的な質問まで多岐に渡る質問が講演者に寄せられました。
- 過去に、事故で流れた油が生物濃縮を起こしたことはあるか。また、モーリシャスの事故ではどうか
- 新型コロナウイルスは調査に何か影響を与えたのか
- モーリシャスでサンゴに関する保護区を設置する上で、現地に足りない知識や技術はなにか。
- サンゴが海からいなくなってしまったら、周りの環境はどの程度影響を受けるのか。サンゴの代わりとなる生物はいないのか
- 昨年、10月~11月に起こった当該地点でのサンゴの産卵はいつもと様相が異なったという報告がある。サンゴの成体への影響は現時点ではわからなかったそうだが、サンゴの胚には直接的な影響があるのか。追加調査はあるのか
- サンゴ礁の再生のためにできることとして、移植以外にどのような方法があるか。油流出地以外における代償措置も考えられるか
- 油汚染を契機に、ブルーベイ海洋保護区の保全管理の質的向上、予算、人材、情報交換は期待できるのか
- 陸上に住む私たちがサンゴ礁保全のために取り組んでも成果が見えにくく、意味のあることなのかと思ってしまう。活動を可視化するためのアイデアはないか
最後に
今回はサンゴに焦点を置き、モーリシャス座礁事故に関するイベントを開催しました。実際に調査に赴いた研究者にしかわからない事をお話ししていただくことで、参加者に改めて同事故について考えてもらう企画にしました。今回は、参加者への知識共有やユースの考えや意見発信が目的のイベントでしたが、次回以降はユースを対象として、自分たちが同事故に対してどのようなことができるのかを考えるディスカッションイベントの実施を検討しています。
CONDは、今後もソラナチアと協働しモーリシャス座礁事故の風化を防止するための取り組みを実施していきたいと思います。
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