インタビュー概要
- 日時:令和2年8月23日(土)10:30〜13:00
- 場所:ジビエ工房茂原
- ヒアリング先:ジビエ工房茂原 上田さん
- 当方参加者:大依、小幡、浅岡
- 対象者へのアポ取りの方法:電話
目的
ジビエの食肉処理場における現状を知り、私たちの協力できるポイントを探る。
質問内容
- ジビエ工房茂原さんがどのような取り組みを行われているのか
- 事業化した経緯、成功した理由
- 始めるに当たって苦労したこと
- 活動を行う上での課題
- 今後の活動の展望/取り組んでいきたいこと
- 生物多様性ユースアンバサダーとしてお手伝いできることはないか
調査により得られたもの
企業によって創設されたジビエの処理場の現状を知り、我々が協力できる点を見つけることができた。
調査結果
〈設立の経緯〉
現在千葉では、年間25.000頭以上、また茂原市では100頭以上のイノシシが捕獲されているが、その中で利用されているのはたったの2%程度となっており、それ以外、つまりほとんどの捕獲個体は焼却・埋葬されている。しかし、現在狩猟者の高齢化により、埋葬のコストや苦労、場所が厳しい状況となっており、捕獲従事者の減少が生じている。そういった中、農林業への被害を減らすために、地域貢献を目的として設立されたのがジビエ工房茂原である。
〈ジビエ利用・処理方法〉
捕獲したウリボウはペットフードや動物園での飼料としての利用し、大人の個体は精肉または、上体によってはペットフードとして利用している。精肉にすると、元の個体の3割程度の重さになるそうだ。病気等の異常がみられる個体に関しては、産業廃棄物として処分される。処分される個体に割合は、おおよそ3割地度。皮や骨は、専門の業者への販売を行っている。
販売先は主に卸売の業者やレストラン等のお店で、火入れ不足などによる問題を防ぐために、個人への販売は行っていない。販売するお肉は、部位ごとではなく、1個体ずつ販売を行っている。
施設の計画は2018年の夏ごろから始まっており、2019年の6月に決済がおり、設立された。行政からの補助金はもらっていない。年間4,000頭の処理を目指しており、主な対象はイノシシである。
止め刺しから1時間以内に搬入しており、30分以内に搬入されることも多い。箱罠で捕獲された個体は、止め刺しを行う前に運搬し、処理場の付近んでと殺を行う。と殺は民家から離れた別の場所で行われている。解体処理のラインは3つあり、効率的に行うために、1ラインに2人の人員が必要であり、1頭の処理におおよそ1時間かかる。目標の年間4,000頭のためには、現在の人員ではぎりぎりであり、新たな人員を求めている。処理の際、この施設ならではの方法として、殺菌にはオゾンを用いている。処理する個体へのオゾン水を上からシャワーでかけており、夜間に施設自体の殺菌のためにオゾンガスを充満させている。処理個体へのオゾン水は3段階用いられており、厳密に殺菌を行っている。オゾン水は食品添加物として取り扱われるため、人体への影響はないそうだ。
〈課題点〉
- 食肉処理場および捕獲従事者の人材確保
- ジビエの利用の普及→ジビエレシピのレパートリーを増やす必要がある。
- 年間4,000頭を処理するための販路拡大
今後の課題
我々が協力できる点として、第一に、販路拡大が挙げられる。茂原市を中心に、ジビエ工房茂原のお肉を利用していただけるレストランや旅館等を探し、アクションを起こすことを目標に活動を展開する。次に、レシピ開発が必要であると考えられる。新たにジビエを取り扱っていただく上でも、ジビエ料理のレシピは大きな交渉材料となり得ると考えられる。また、人材育成には、SNSを用いた普及活動と、余力があればイベント等の実施を行えることが望ましいのではないか。
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